残された断片の先
- Miyoko Masuda
- 12月6日
- 読了時間: 2分
CASE-1、CASE-2とリメイクシリーズをつくり続ける中で、どうしても “半端な断片” が残っていく。
どうしても捨てられなかったーそんな、形になりきれなかった欠片たち。
役目を果たしきれないまま取り残されたそのパーツたちが、静かに積み重なっていく。
そしてそれらを見ながら、心のどこかでずっと思っていたこと。
「いつか、この子たちだけで、一本の特別なジーンズをつくりたい」 と。
ただ、その “いつか” を口に出すこともなく、ずっと胸の奥で温め続けた。
焦って形にするのではなく、タイミングが来るときを...。
そろそろ形にしてあげたい——そう思えた瞬間、自然と手が動きはじめた。
頭の中には、つくりたい一本のイメージがある。
そこに合わせて創り上げればいい...。
と、簡単に思っていたが、どうも沼にはまってしまったらしい。
手元に残されたパーツはどれも色も表情も大きささえも違う。
淡いブルーに深いインディゴ、日焼けしたように白く抜けた部分。縫い目の太さやステッチの色、縮み方さえ、個性がバラバラ。
それらを“つながる順番”に並べるのは、想像していた以上に骨の折れる作業だった。
置いてみては違和感が生まれ、別のパーツを合わせると色の流れが途切れる。
バランスが整ったと思えば、今度は厚みが合わず縫製に無理が出る。
そのたびに、また一から並べ替えて、組み直して、確かめる。
正解のないパズルを前にしているようで、ひとつの答えにたどり着くまで、とにかく手を動かすしかなかった。
ときに半端すぎるパーツを使うために、パターンを変更する。
ときに描いていたデザインに、もう1本線を入れてみる。
頭の中のイメージと、その時その瞬間に感じるインスピレーションが重なり始めたとき、ようやく一本へと向かう道筋が見えてきた。

CASE-5 は、積み重ねてきたすべての “余白” に敬意を払って生まれた一本です
たった一度きりの組み合わせ。
二度と同じものは作れない、リメイクLab.だからこそ辿り着けたスペシャルピース。
だからこそ、このジーンズは “つぎはぎ” ではなく、
私たちが歩んできた道のりそのもの。

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