デザイナーが厳選した1本 : メキシコ製505 modelCASE1-NO.16
<2016年メキシコ製>NO.16
リメイクの第一歩は、ハサミを入れることではありません。 1日かけて洗い上げ、撮影し、じっくりと観察する。
ボタン裏の刻印や赤タブなどのディテールから、年代や背景を読み解いていく時間。
以前は何時間も検索して調べていた作業も、今ではAIに頼む時代。
「は、早い...。そして私が検索するより、ずっと詳細に出てくる...。」
時代ですね。
技術の進化に感動しつつ、そうやって一本一本のそのジーンズに向き合っています。
ジーンズのモデルは505
ジーンズ愛好者の中ではおなじみですが、今一度おさらいを。
リーバイスの定番といえば、501。
太ももから裾にかけてストレートのシルエットが特徴です。
対照的に、505は裾に向かって少し細くなるテーパードシルエット。
501よりもすっきりとした印象で、ファッションアイテムとしてつくられたモデルともいわれています。




505のディテールで個人的に好きなポイント
ひとつめは、ファスナーのスライダー(引手)。
501はボタンフライ仕様ですが、505はファスナー仕様。
そして、このファスナー仕様だからこそ出会える「紙パッチ型のスライダー(引き手)」です。
チャーミングですよね。
履いている本人にしか伝わらないような、隠れた遊び心です。

そして、もうひとつ。 ファスナーそのものが、ちょっと「ごつめ」なとこ。
一般的なレディースパンツでは小ぶりな3号サイズのファスナーが多いのですが、こちらはしっかり存在感のある5号サイズ。
ワークウェアとして男性がガシガシ履くことを想定し、多少ラフに扱っても壊れにくいように、タフな作りになっているのかもしれません。
これは年代や国にかかわらず、5号サイズが使われています。
(ちなみに、こちらは安心のYKK製でした。)
「無骨で大きなスライダーなら、働く人のごつい指でもさっと下ろせたのかな?」
なんて想像が膨らみます。
こうして細かいディテールを見ていると、このジーンズがつくられた頃のことや、愛用していた誰かの姿まで想像してしまう。
そんなことを考えていると、少しずつ愛着が湧いてきます。
ジーンズを解体するプロセス
パターンと 見比べながら形を整える工程。
裁断は、私の仕事です。
ここまで数十本と裁断してきましたから、どこに、どうパターンを入れるのがいいのか。少しずつわかってきたつもりです。
ですが、同じジーンズは一本もありません。 ねじれ方も、汚れも、色落ちも、サイズもそれぞれ違う。だから、パターンを置いて終わりではありません。何度も見比べながら、この一本にとっての「一番いいおさまり」を探していきます。
そしてはさみを入れる瞬間、緊張が走ります。
一度はさみを入れたら、もう後戻りはできませんから。
最後は思い切りが大事だったりします。
その後、ポケットを外し、皮パッチも取り外します。
外した後の跡も、表情の一つとして活かしています。
解体して、形を整えて、次の工程へ。
ここからは、縫い子さんへバトンタッチ。
では、デザインの詳細をご紹介しましょう
やんちゃな腰履きパンツをイメージしたウエストのデザインが特徴的デザイン。
フロントはデニムを履いているように見えますが、バックスタイルからはスラックスを思わせるスタイルです。
このフロントとバックスタイルのコントラストが、他にはない魅力です。


ウエスト部分には、あえてネームを表に見せることで、アイデンティティを強調しました。

ウエストのゴム仕立ては、着用が非常に簡単で快適なうえ、ウエストサイズの変化に対応できます。幅広いサイズの方々に対応できるよう、少し緩めの設定をしています。綿100%のツイスト紐で、さらに調整が可能です。

前後差をつけたデザインは、スタイリングのバリエーションを楽しめるように。
ヒールを履けば足長効果も感じられます。後ろ裾を短めに仕上げられているので、裾が汚れにくいのもポイントです。



そして、このパンツを支えているのが、この生地
シーズンレスで履けるように、さらりとした梳毛ウールを使用しています。
オーストラリア産のファインメリノウールと、リサイクルポリエステルの混紡です。
メリノ種の羊からとれるウールは、毛が細く柔らかなのが特徴。その中でもファインメリノは繊維がより細く、さらりとした肌触りがあります。
夏は湿気を逃しやすく、冬にも使いやすい。季節をまたいで履ける素材です。
さらに、リサイクルポリエステル工場からの糸をブレンドし、環境への負荷を低減しています。
ジャージーのような履き心地は、2wayの伸縮があるからです。柔らかな落ち感もあり、シワになりにくいのも嬉しいところ。
手洗いが可能なので、お手入れもしやすいパンツになっています。洗濯後は強めの脱水を避け、日陰でゆっくり乾かしてください。


形は同じでも、1点1点違うところがリメイクの魅力
いかがですか?
同じパターンでつくっていても、使うデニムが変われば、仕上がりも変わります。
色落ちも、傷も、ねじれも。それぞれが持っている表情を見ながら、一本ずつつくっていく。
だから、同じ形でも同じものにはなりません。
それが、リメイクの魅力。
どんなジーンズに出会うか。そのジーンズが、どんな表情を見せてくれるか。
創るたびに、私自身も楽しみです。
そんなふうにして生まれた、一本。
ぜひ、これからのあなたとともに。



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